災害が起こって1か月、これからはもっと身体の声に耳を傾ける時間を
2016/05/11 Update
災害後は、毎日が、それまでの日常生活とは異なる変化の連続で、不安定な状況であり、子どもにとっても、大人にとっても、大きなストレスです。ストレスで心と体のバランスが崩れると、これまで一度も経験したことがないような体調の変化を感じることがあります。妊婦さんやお子さんをお持ちの方などは生活再建のための課題が多く、複雑なため、頑張って頑張って頑張りすぎるあまり、子どもと親の両方が大きなストレスにさらされているという自覚がないことがほとんどです。心の中に潜在化してしまうとなかなか治せませんが、早めに気づき、うまく対処することで、心の負担を減らすことが出来ます。
また、生活のリズムが戻る兆しが見え、大人が少しホッとして安定しかけたころ、少し遅れて子どもの気持ちや表情の変化が出てくることがあります。めまいや吐き気を訴えたり、寝つきが悪くなったり、怒りっぽくなったり、いつまでもグズグズしたり、親のそばを離れなかったり。大人でも、災害が起こってから1~2か月後にイライラ、不眠、どもり、悪夢、物忘れ、集中力低下、転倒など、ストレスに対する心理的な反応が見られることがあり、「少し落ち着いてきたのに、おかしいな」とイライラしたり、「うちの子どもは(自分は)変なのではないか」「病気なのではないか」と心配になる時があるかもしれません。こんな時、これらはすべて、大きなストレスの後に見られる自然なことで、「自分が正常の人間だからこのような反応が出るんだ」「大人でも子どもでも、誰に起きても不思議ではないことなんだ」と知っておくと、自分の状態を受け入れることが出来ます。
この場合、感じ方が強い/弱い、症状が出る時期が早い/遅いなど、他人と比較するのではなく、自分の中で昔と今の経過を比較するようにしましょう。
例えば、今後2~3週間の間に
・眠れない、食べられないなど、日常的に基本となる行動を取ることが出来ない
・不眠、緊張、不安などの症状が時間とともにどんどん強くなる
場合は、早めに専門家の力を借り、辛い状態を長引かせないようにする必要があります。
皆さんは、好きな人に会うとドキッと胸が鳴ったり、緊張すると喉から声が出なくなったり、という経験をしたことがあるでしょう。このように、心と身体はお互いに連動しています。心が疲れていて、身体は元気いっぱい、ということはないのです。ですから、気持ちの不調も、体の不調と同じくらい、「些細なこと」「気力で治るもの」と片づけず、真面目に向き合ってあげると良いと思います。
ご自分の調子がすぐれず困っている時は、困っている人を助けるよう訓練された専門家に相談すると、理解してもらえますし、一緒に対処法を考えてもらえます。
参考:災害時こころの情報支援センター
http://saigai-kokoro.ncnp.go.jp/
大災害と親子の心のケア―保健師活動ロードマップ p35
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hinanzyokakuho/wg_situ/pdf/dai3kaisankou3.pdf
これからボランティアに向かわれる方、ボランティアをしたいと思われている方へ
2016/04/22 Update
ゴールデンウィークを前に、ボランティアの受け入れが開始された熊本の被災地。何かしたいと既に駆けつけてサポートをされている方もいるかもしれません。また、これから現地に向かおうとされている方もいらっしゃるかもしれません。その時、「支援学」の基本を知っておくことで、現地の方のこと、ご自分のこと、言っていい言葉、してはいけないことなどが見えてきますので、ご参考になれば幸いです。
実際に、地元の人や被災者の方と、外部からのボランティアの方のトーンやスピード感が違う、ということが、阪神・淡路大震災の時も、東日本大震災の時も、指摘がありました。
支援する側は、「遠くから来ました!何かできることはありませんか?」と意気揚々と現地に入り、何か特別なことをしたがっているのですが、現地の人々は、普通の生活をしていて、そんなに大きな望みはありません。「最高のものを提供することが最良ではない」とは、一緒に活動していた家庭医が話していた言葉です。最新の医療、物資、最高の技術を提供しても、それが一過性のものであれば、普通の生活に定着しなければ、喜ばれないでしょう。あまり「支援者」「被災者」と線を引かず、対等な協力関係を結ぶ、それからどんな支援を必要としているかを明らかにするということが、実はとても難しいのです。
【被災地レポート】第5回 被災者に寄り添う本当の支援とは
http://www.blog.crn.or.jp/lab/06/18.html
2016/04/20 Update
国内外にいる皆が、地震で被害に遭い、その後も長く続く恐怖で苦しんでいる人たちのことを思い、気にかけています。そんな時、被災地の中でも、外でも、子どもたちはどう感じているのでしょうか。親がイライラして、眉間にしわを寄せて、困った顔をしている・・・。何となく、怖いな、と思っているかもしれません。東日本大震災の時、子どもたちに状況をどう話したらいいのか分からないという私たちに、小児科医の先生から、親が自分の不安を伝えるのはOKだよ、というアドバイスがありました。子どもの不安を消したいからといって無理に「大丈夫!」と言うよりも「お母さんも不安なの」でも、「あなたたちを安心させたい」「自分も頑張りたい」と言ってみては、とのお話に、肩の力が抜けてほっとしたのを覚えています。
【被災地レポート】第7回 被災から数ケ月、子どもの心のケア-今からできることに目を向ける
2016/04/20 Update
避難所や、それ以外の場所で自主避難をされている妊婦さんや乳幼児の生活について、簡単にアセスメントできるシートを厚生労働省の研究班で作りました(平成26年度厚生労働科学研究費「妊産婦・乳幼児を中心とした災害時要援護者の福祉避難所運営を含めた地域連携防災システム開発に関する研究」(研究代表者:吉田穂波))。
このようなシートを使って、どこに誰が何人いるかを把握し、コミュニティの取りまとめ役や自治体の避難所担当者さん、保健師さんに情報を伝えてあげると、表面には見えにくい人たちのニーズが可視化されます。
弱い立場にある方、少数派の方、なかなか声を上げづらい方を中心にフォローしていくことが、今後、ますます求められるでしょう。その方々を基準にしてものごとを進めると、被害から立ち上がっていく時期にも、皆で無理なく支え合うことが出来ます。
避難所アセスメントシート
熊本地震のために〜母子を守るためにできる10のステップ
16/05/11 Update
現地の母子が救われるために、被災していない私たちがどう動けば良いのか、また、現地の皆さんがどうすればよいのか~これまでの災害から明らかになったステップをまとめました。
ステップ①~⑤【被災している妊産婦さんや赤ちゃん連れのご家族へ】
長期的な避難生活が予想されますので、今から出来ることとして、以下の5つを知っておくと役に立ちます。
①災害時の妊産婦、乳幼児に多くみられる症状
②災害時の過ごし方
③栄養の摂り方
④病気の予防
⑤自分自身のケア
以下、順に詳しく見ていきましょう。
①災害時の妊産婦に多くみられる症状
今だけは、特別な配慮をしてもらうのは申し訳ないという遠慮を捨て、「いつもとは違う」サインを感じたらすぐに避難所のリーダー、あるいは医療班の方に申し出てください。
<災害時に妊産婦さんに多くみられる症状 ベスト10>
(平成23年度厚生労働科学研究費補助金「地域における周産期医療システムの充実と医療資源の適正配置に関する研究」平成23年度研究成果報告書より)
① 切迫流産、切迫早産の兆候(腹部鈍痛、出血、腰痛など)
② 不安やストレスを強く感じる
③ 便秘
④ 不眠
⑤ アレルギー症状(くしゃみ、喉の違和感、目のかゆみ、肌のかゆみなど)
⑥ むくみ(特に下半身や膝から下の部分)
⑦ 風邪(咳、喉の痛み、発熱など)
⑧ 皮膚炎(かゆみ、湿疹、赤み)
⑨ 頭痛、めまい
⑩ 胸やけ、胃もたれ、食欲不振
<災害時の赤ちゃん・幼児に多くみられる症状 ベスト5>
① ぜんそく
② 風邪、インフルエンザ
③ 下痢症
④ 皮膚炎、かゆみ、湿疹など
⑤ いつもより泣かない、あるいはいつも以上に泣く、など
<要注意!体調悪化のサイン>
・こういう症状があったら、遠慮せずに医療班に申し出ましょう。
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hinanzyokakuho/wg_situ/pdf/dai3kaisankou4.pdf
妊産婦さん(防災ノートより)
① 腹部の痛み
② 腹緊・陣痛
③ 破水・破水感
④ 性器出血
⑤ 胎動消失・減少
⑥ 高血圧
⑦ むくみ、めまい
⑧ 発熱
赤ちゃん・乳幼児
① 発熱(38℃以上)
② けいれん
③ 吐く
④ 咳
⑤ 下痢
② 災害時の過ごし方
私がリラックスする方法・リフレッシュできる方法:無理をせず、今の自分でできることを探してみましょう。
子どもを守りたいという気持ちから、自分の想像以上のストレスがかかっていることも。子どもにしっかり寄り添うためにも、自分自身もケアすることが大切です。
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hinanzyokakuho/wg_situ/pdf/dai3kaisankou3.pdf
③ 食事・栄養の摂り方について
妊産婦さん:十分な栄養がとれないため、口内炎などになりやすくなります。サプリメントでの補給が出来ない場合は歯を磨き、口の中を清潔に保ちましょう。
非常用の食事は、塩分が高めです。選択できるときは、塩分が少ないものを選ぶようにしましょう。
赤ちゃん:災害時には母乳が最適な栄養源となります。一時的に出にくくなっていても、継続させることが大切です。リラックスして授乳するようにしましょう。
離乳食がない場合、離乳を始めたばかりであれば母乳や粉ミルクで栄養をまかなうようにします。
以下、独立行政法人 国立健康・栄養研究所の資料「3.赤ちゃん、妊婦・授乳婦リーフレット」から抜粋した、妊産婦さん、乳児をお持ちのお母さんのための栄養アドバイスです。
http://www.dietitian.or.jp/assets/data/learn/marterial/h23evacuation3a.pdf
(1)頑張り過ぎない!
困ったことは何でも医療スタッフに相談しましょう。
母乳の継続、食器や哺乳瓶の消毒、自分や子どもの栄養バランスなど思った通りに行かないことだらけです。困ったこと、わからないことがあったら声を出しま しょう。話すだけで気が楽になり、気持ちが整理できることがあります。栄養面と緊急性、必要性を天秤にかけて、そのときでベストを尽くしたら良い、こうい うときだから仕方がない、と思えるよう、神経質になっている母親の気持ちを周りがほぐしてあげましょう。
(2)取れるときに水分を
十分な飲み物が得られなかったり、トイレに行く回数を減らしたり、節約するために水分を控えたりしがちですが、通常の成人よりも水分が必要な状態では、優先的に水分を確保し、こまめに飲むことが大切です。
(3)食べられるチャンスに少しでも
食事の回数や一回あたりの食事量が限られたり、食欲がないこともあります。食べられるときに食べられる物を食べましょう。
(4)ビタミン不足はこのようにして補給
パンよりはおにぎりにし、おにぎりでも、出来るだけ野菜の入っているものを摂りましょう。果実ジュースや栄養強化食品、栄養ドリンク、ゼリー飲料などもビタミン源となります。
(5)離乳食は固定観念にとらわれないで
塩味を薄くしたおみそ汁の中にご飯を入れ、柔らかくして食べさせたり、野菜をよく煮たものをつぶして与えることもできます。牛乳や卵はアレルギーのもとに なると聞いて与えないよう気をつけているお母さんもいますが、赤ちゃんは私たちが考えているよりも強い生き物。その場で手に入る食材をあげましょう。
④ 病気の予防について
・災害時はストレスにより、ふだんよりも血圧が上昇し、妊娠高血圧症候群になりやすいため、寒さをさけ、十分な水分摂取をして、十分に足を伸ばして横になれる場所を確保してもらうことも重要です。また血栓症(エコノミー症候群)もおこしやすいため、こまめに水分をとり体を動かすことも大切です。
・妊娠合併症:妊娠期・出産・産後は平時でも精神的な変化の大きい時期だと言えます。その上に被災のショックが重なることで、強い恐怖感や落ち込み、うつ症状を伴うこともあります。子どもを励まそうとするあまり、自分の気持ちを押し込めてしまわず、信頼できる人と話をできる機会を作りましょう。
・赤ちゃん返りや夜泣き、乱暴な言動等、災害時に見られる子どもの”異常な行動”は、”非常時における正常な行動”です。大きく受け止め、しっかりと抱きしめてあげてください。同じ話を何度も繰り返したり、災害を再現する”地震ごっこ””津波ごっこ”の遊びをするのは、子どもが子どもなりに災害を受け止め、体験を消化するために必要なプロセスだと言われています。温かく見守りましょう。また、子どもも親を気遣います。平気そうに見える子どもほど、ケアが大切です。
⑤ 自分自身のケア
つわり症状や食事の変化により虫歯や歯肉炎などにかかりやすくなります。時間のある時に歯磨きを。
疲れやすく、長時間立ったり、重いものを持つことが難しくなります。炊き出しの列に並ぶ、水汲みをするなどの肉体労働は出来るだけ周囲の人の力を借りましょう。
快く受け入れてもらえる頼み方のボキャブラリーはこちらから:
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hinanzyokakuho/wg_situ/pdf/dai3kaisankou5.pdf
尿漏れ・痔などの排泄トラブルが起こることもありますので、水分や栄養・食物繊維を可能な範囲で摂るよう心がけましょう。
ストレスは妊娠中の健康トラブルの元です。出来るだけ横になり、水分を多く摂るようにしましょう。
お腹が大きくなることで体のバランスが変化し、転倒しやすいので、重いものを持っている時や階段の上り下りでは、ゆっくりゆっくり一歩ずつ歩くようにしましょう。
ステップ⑥【被災地外から支援したい方々へ】
1) 身の回りで妊産婦さんや赤ちゃんを見かけたら、いつも気にかける、笑顔を向ける、それだけでも十分です。
2) 仲間とネットワークを作り、いつでも動けるように仲間を集めておくようにしましょう。きっとそのうち、ちょうどいいタイミングでお役目が回ってきます。
3) 被災されている妊産婦さんに応援メッセージを送る方法や上記の健康情報を届ける方法を考えてみましょう。
4) 何も出来なくてもどかしい、歯がゆい、という気持ちを書き留め、自分が力になりたいのはどういうことなのか、自分にできることは何なのか、どんな気持ちを伝えたいのか、を考えてみましょう。そして、自分や周りの家族、友人たちに優しくすることも忘れずに
5) 物資を送る場合は仕分けの手間を省くために一つの段ボールに一種類の物を入れて段ボールの表に物資の名前を大きく書くようにしましょう。
ステップ⑦【被災自治体・支援者の方へ】
1)避難所の中で配慮が必要な人を確認する方法があります。
避難所が開設される時にアセスメントを行い、毎日更新できると、避難所を閉鎖する時、避難している方々が仮設住宅に移る時の判断に役立ちます。
同じ避難生活でも、より大きなダメージが出る可能性がある人には、居場所、温かさ、栄養、水分に関して、より踏み込んだサポートが必要です。
*避難所アセスメント・シート⇒各避難所で毎日記録をし、自治体や救護班と共有することで、急病人、急な搬送要請を未然に防ぐことが出来ます。
妊産婦さんのリスクを判断するためのチェックシート
2)自主サポートグループ作りを応援
避難されている妊産婦さんたちや子連れのお母さんたちに声をかけ、母親学級などの同じ仲間の集いを企画してもらいましょう。その際は自治体も応援することを伝えましょう。
3)乳幼児や障害を持つ子どもを抱える母親にはできるだけ専用スペースを設けると良いことが分かっています。
特に妊婦や産後間もなくの新生児を抱える母親、障がいを抱える母子の専用のスペースを確保すると、同じ境遇にある仲間同士の安心感が得られます。中には家族と離れることで精神的な不安を覚え、専用室を望まない母親もいました。状況を判断したうえで、可能であれば家族ごとに個室を与えるなど、柔軟な姿勢で。
また、母子の拠点を作り、物資や情報を集約するスペースがあると、誰もが物資や情報を取りに来られます。避難所にいなくても物資だけは受け取れるような「援護所」が必要です。
ステップ⑧【医療従事者向け】
1)妊婦さんの診察に活用できる母子避難所チェックリストです。
2)避難所、在宅避難を問わず、妊産婦や乳幼児を連れた人のリストを作り、助産師、産婦人科医、小児科医の巡回診療を行う体制を作ると、長期化する避難生活における妊産婦さんへの対応がスムーズになります。
<妊産婦初期対応問診票>
3)妊産婦、乳幼児の診察について、妊産婦にも使えるお薬についての研修スライドです。
日頃産科や小児科の診療に慣れていない医療従事者の方の参考になります。
(1)災害時の妊産婦診察
https://cloud.niph.go.jp/s/fd/DHxmWz821jiI013ap0uY
(2)災害時の婦人科診察
https://cloud.niph.go.jp/s/fd/gwWKa2215hXSbJjDAaBZ
4) 支援に行ってくださってありがとうございます。どうぞ、支援する側のためのストレスケアも忘れずに。
災害時こころの情報支援センター
災害救援者メンタルヘルス・マニュアル
http://saigai-kokoro.ncnp.go.jp/document/medical_personnel02_4.html
災害と精神保健医療 e-ラーニングサイト
http://kocoro-support.jp/ncnp/desc.php?category_no=19
ステップ⑨【被災地外から保健師さんを派遣される自治体の方向け】
1)熊本地震における避難所支援にかかる帳票様式が改訂されました。「避難所避難者の状況」では妊産婦や乳幼児を把握する項目もあります。
http://www.nacphn.jp/02/saigai.html
2)「大災害と親子のこころのケア-保健活動ロードマップ」利活用に関する手引書
大災害と親子のこころのケア-保健活動ロードマップは、平成27年3月、厚生労働科学研究費補助金研究 地域医療基盤開発推進研究事業(国立高度専門医療研究センターによる東日本大震災からの医療の復興に資する研究)「被災後の子どものこころの支援に関する研究(代表研究者:五十嵐隆、分担研究者:中板育美)」によって作成されました。
https://cloud.niph.go.jp/s/fd/aRx5JWYN2DyT0LWpqtvk
ねらい:本書は、震災後対応に迫られる保健師の皆さんに、コミュニティ形成や生活支援をしつつ、保健師の視点で先の見通しを立てられるようにと平成27年に作成されました。震災を経験した子どもや親のメンタルヘルスを守ることは、被災地及び日本全体の将来を左右する重要なテーマです。東日本大震災等多くの震災から得られた教訓が、被災地支援にあたる保健師の皆さんの参考資料に、そして判断基準になれば幸いです。
ロードマップの概要:災害後のフェーズによって変化する母子の生活環境が示されています。ここでは、災害から約1か月経ったころから必要とされる保健師活動のポイントについてまとめました。
ページ 要点
5-6 災害後のフェーズによって変化する母子の生活環境が示されています。
災害後、日が経つにつれて表出する問題、増加してくる課題が俯瞰できます。
17-18 上記5-6ページ目のロードマップと対応させ、フェーズに合わせて求められる6つのポイントを頭に入れて
おくと良いでしょう。
10 乳幼児健診の早期再開の重要性:健診という普通の事業だからこそ、子育て環境の変化に伴い不安を抱える
親が足を運びやすいという接近性があります。
15 支援者が言ってはいけない類の言葉がありますので、注意が必要です。
24 車上生活の母子への対応、仮設住宅生活への対応等、母子自身にも大きなストレスにさらされているという
自覚がないことを前提に支援をする必要があります。また、ここには派遣保健師と支援保健師との連携方法
についてのヒントが書かれています。
31 医療に繋ぐタイミングについての記載と、見本となる問診票が載っています。
42 被災地内の保健師も、派遣で支援に入った保健師も、メンタルヘルスの問題がのちのち浮上してくることが
あります。一人で抱え込まない、チームで対応するなど、お互いにサポートし合える環境作りのためにも
「受援力」が必要です。
パンフレット掲載URL:
国立保健医療科学院健康危機管理支援ライブラリー
http://h-crisis.niph.go.jp/?p=75940
「母子支援」のカテゴリー
http://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/hinanzyokakuho/wg_situ/pdf/dai3kaisankou3.pdf
平成27年度厚生労働科学研究費「妊産婦・乳幼児を中心とした災害時要援護者の福祉避難所運営を含めた地域連携防災システム開発に関する研究」(研究代表者:吉田穂波)平成27年度総合・総括報告書
https://cloud.niph.go.jp/fileshare/download?file=3qT3Q2HAX1BI11SqfHiP
災害時母子救護 研修資料
https://cloud.niph.go.jp/s/fd/AkmjdXjvjt0FawG7Ea69
ステップ⑩【被災地で活動されるボランティア向け】
1)赤ちゃん連れの親御さんは、多大なストレスがあっても自覚しづらく、また、目が回るほど忙しいこともあって自分たちの症状を言い出せないことがほとんどです。
避難生活が長引くと、こんな症状が出やすいようですよ、と声をかけ、下記の「現在の症状(乳児用)」「現在の自覚症状(妊婦用)」に当てはまるものがないかどうか、見てもらいましょう。早めに対処すれば軽いうちに手当てできるものがほとんどです。
*この内容は、以下の助成金を頂いて調査したものです。
厚生労働科学研究費補助金(健康安全・危機管理対策総合研究事業)「妊産婦・乳幼児を中心とした災害時要援護者の福祉避難所運営を含めた地域連携防災システム開発に関する研究 」報告書(研究代表者:吉田穂波、平成25〜27年度) https://cloud.niph.go.jp/s/fd/3qT3Q2HAX1BI11SqfHiP